こんにちは、各種ハサミ製造販売の美鈴ハサミ株式会社のホームページです。

印刷用表示 |テキストサイズ 小 |中 |大 |




鋼(はがね)の成分表

ハサミについての知識を深めるコーナーです。





刃物鋼の重要性について

鋼は用途に応じて極めて多種類あるのですが、刃物に適した鋼は、「切れ味良く、折れず、曲がらず、欠けず、然も長切れする」等の条件を満足させねばならない。これらの特性を備える必要がある上に、特性を生かす熱処理と刃研ぎが必要で、良い刃物を作る根本になります。下記に各成分よる効果を説明します。



▲ ページトップへ

刃物鋼の含有元素の影響

C(炭素)

刃物の切れ味を出す根本元素であり、多すぎるともろくなる為、一般に0.6~1.4%程度の間になっている。硬さを特に必要な場合1.0%以上となり、粘さの必要な場合はそれより少なくすることです。

Si(ケイ素)

普通0.30%以下としてありますが、多いことは禁物です。これが多いと曲げに耐える性能も悪くするし、火造りにもろさが出る。

Mn(マンガン)

1%以上も有りますと常温加工も悪く、焼入れの際割れる恐れがあります。然し少量あると鋼の硬さ及び粘り強さを増します。又、マンガンは鋼の中のS(イオウ)の悪さを除く役目を果たします。

P(リン)

この元素も有害で、特に低温に於いて、もろさをあらわします。炭素が多い程著しくなります。結晶粒で粗大にし、かたまり易く、衝撃にも弱くなり、加工の際、亀裂を生じやすくなる等、良質の刃物鋼には最もきらわれる不純物です。

S(イオウ)

この元素も非常に有害で、鍛練性を悪くし、火造りの際はもろくなり伸びや絞り、衝撃にも耐えることが出来なくなる。

Cr(クローム)

この元素を若干添加された刃物鋼は、鋼の粒子が高温になっても粗くなるを防ぐと共に焼が硬く内部まで均一に入りやすく、刃物の切れ味、耐摩耗性を著しく増します。これはまたタングステンと共に加えることにより、その効果が上がります。またサビにくくなる性質もあります。

W(タングステン)

この元素も刃物鋼には良い効果を上げます。粒子が微密になり耐摩耗も良く焼入れ過敏性がないから焼も入りやすく刃物としての高強度と鋭い切れ味が得られます。

Mo(モリブデン)

タングステンと同じ様な効果があり、焼が入り易く強靭になり、切れ味と耐摩耗性にも効果があります。タングステンよりも一層効果的な貴重な元素です。

Ni(ニッケル)

この元素も焼が入り易く、強靭になり粘さを増す。又、粒子が大きくなるのを防いでくれる貴重な存在です。

V(バナジウム)

鋼の結晶粒を細かくし、強靭性を増す効果があり、耐摩耗性も向上させます。



▲ ページトップへ

******** 以上「鋼のおはなし」大和久重雄 著 より *********